2022-09-25

 実家で飼っていた犬が亡くなりました。16歳、老衰でした。

 大学卒業とほとんど同じ時期から犬の認知症が始まり、夜鳴きや徘徊、粗相をするようになりました。二年弱に渡る介護生活はまあ大変でしたし、家族全員が代わる代わる体調を崩したりしました。それでも終わってしまうと本当に寂しい。朝起きて一番に今日一日の犬の世話のことを考えたり、リビングを通るときは犬を起こさないように静かに歩いたり、バイトから帰ってきて真っ先に犬の様子を確認したり。犬をひとりで留守番させることができないから、家族の誰かが外出する日は必ず一人は家に残れるように予定を調整したり。犬の介護のことを軸にして生活が回っていましたから、急にその必要がなくなって自由が訪れると、思考が空回りするような感覚になります。何か考え事をする度に、そうか、もう家を留守にしてもいいのか。自分のために時間を使っていいのか、と気づく。そういう瞬間がどうしようもなく寂しいです。介護は気が滅入ることも多く、自分のやりたいことが思うようにできなくて辛い気持ちもありましたが、亡くなった犬に思うのは、一番に考えさせてくれて、大事にさせてくれてありがとう。お世話させてくれてありがとう。そんな感謝の気持ちばかりが湧いてきます。

 いつ何が起きても受け入れられるようにと真摯に向き合っていたので後悔はありません。それでも人生の大切な時期を一緒に過ごした犬ですから、寿命とはいえ辛いし、とても寂しい。しかし、犬が生きていた過去の時間を懐かしむと同時に、生きている家族や友人たちとの現在の時間も尊いものだと心から感じます。

 ここ一週間で何かと予定を変更してしまったり、元気があったりなかったりと、一部の方には迷惑をかけてしまいました。自分でも元気があるんだかないんだかわかりません。ペットを亡くした直後でも毅然と対応する人もいるのでしょうが、私はまだ不安定な状態が続きそうです。周りの人の優しさに少しだけ甘えて、しばらくは元気があるのかないのかわからないまま過ごします。でも、気持ちは前向きです。